あなたも買える?ビッグモーターの買収金額予測

前回の記事(非上場会社でもここまでわかる!ビッグモーターの経営分析)から3か月が経ち、ここ最近ビッグモーター関連の動きが出てきたので、現状の確認と今後について考察してみます。

ビッグモーターをめぐる動き

現状の動きとして、伊藤忠商事(と再生ファンド)がビッグモーターの買収を検討、それに呼応するタイミングで三井住友銀行が300億円のつなぎ融資を行う旨の報道がありました。
三井住友銀行としては、このまま倒産され回収不能となることと、伊藤忠傘下に入り経営再建を進める可能性への期待を天秤にかけた際に、後者の期待値が高いとの判断をしたのでしょう。
前回2023年9月に書いた記事で、現預金が200億円少々、月間のキャッシュアウト(現金の減少)が44億円程度、5.4か月ほどで現金が尽きるという予測をしていましたが、12月現在では3か月経過し、おそらく現預金が100億円をかなり割り込んでいる状況だと想定されます。


そして、来春に伊藤忠が結論を出すというタイミングで300億円のつなぎ融資ということですので、あと半年分くらいの資金を想定していると考えると、今回の金額とタイミングの辻褄が合いそうです。

買収されるならいくらか

ビッグモーターの買収が行われるとしたら、一体いくらいくらになるかは気になるところです。

こればかりは借入や資産の状況を見ないとわかりませんが、残念ながらビッグモーターは非上場会社でほとんど情報がありませんので、正確な予測は難しいです。参考として、2023年12月の競合の時価総額はネクステージが約1800億円、ガリバーを展開するIDOMが約980億円程度です。

ビッグモーターにおいては、現預金がなくなってきているとはいえ、物件の保証金など「寝ているお金」は相当な金額がある可能性があり、整備に関する機械類もそれなりに大きな金額になると思われます。一方で当然ながら借入金額も相当大きいと想定されます。根拠を持った予測はできませんが、このようなケースでの実質の買収価格は高く見積もっても数十億円程度だろうと思われます。

(そごう西武の実質の買収金額が8500万円でしたので、そのレベルもあり得ます)

今後の展開

再建の基本路線としては、不採算店舗の閉鎖やそれに伴う人員整理など大規模なリストラで縮小均衡を図ると想定されます。その後残った店舗の収益改善およびシナジーのある部門との連携ということを進めていくことになります。

伊藤忠商事の関連会社には、輸入車販売のヤナセ、レンタカーやオートリースなどを展開する東京センチュリーがありますので、立地によってはヤナセに業態転換をしたり、整備工場や仕入れなどを共通化するなど営業効率化を図っていくものと思われます。

段々と具体的な動きになってきてはいますが、あくまで各社「検討している」状態ですので、創業家の対応によっては交渉決裂となる可能性も十分にあり、まだまだ予断を許さない状況です。これから交渉が進んでいくと思いますが、定期的に状況を確認していきましょう。