資金繰りが苦しい!すぐにできる資金繰り改善5選

倒産の原因の多くは資金繰り

「赤字で会社は倒産しない」ということは多くの方が聞いた話であると思います。会社が倒産するのは「現金が尽きたとき」です。逆に言えば現金さえあれば会社は継続できます。しかしながら、赤字ということは「現金が流出している」状態ですから、その状態が続くといつかは現金が尽きてしまいます。貧すれば鈍するの言葉の通り、余裕がなくなると適切な判断が出来なくなります。
その前に事業の根本的な問題の解決を図る必要があるのは言うまでもありません。

資金繰りが厳しいのはどういう時か

ひとつは、一時的な資金不足の場合です。支払と入金のサイトが違うことから、一時的に現金の支出が大きくなり資金が不足します。売上などの入金前に仕入、給与、家賃の支払いなどで一時的に現金が足りなくなる状態です。よく「黒字倒産」と言われるのはこの場合に該当します。
もう一つは、慢性的な資金不足の場合です。この場合は事業でキャッシュを生み出せていない状況で、現金が減っていっている状況です。こうなると資金繰り対策は「焼け石に水」となってしまいます。もちろん時間を稼ぐ意味はありますので、その間に問題の根本的な解決を図ることが重要になります。売上の向上とコスト削減で本業で営業黒字(短期的にはキャッシュフローで黒字)が出る状態を作らなければなりません。

資金繰り改善手段5選

1.金融機関の借入/自己資金を入れる

銀行など金融機関からの借入(通常の融資)が出来れば最も良いですが、一般的には審査に数週間~2か月程度かかりますし、経営状況によっては融資が受けられない場合もあります。一時的な資金不足であれば経営者自身の生活の余裕がある範囲で自己資金から法人に貸付をするのが一番手っ取り早い方法です。この場合、税理士などと連携してきちんと記録を残しておき、できれば法人と個人間の契約書も作っておきましょう。自己資金を入れるために、経営者個人として消費者金融などから借入をして法人に貸し付けるケースも耳にしますが、こちらは信用情報に記録が残りますし、法人から確実に返済ができない場合、個人で返済をする必要があるため「最終手段」と考えた方が良いでしょう。

2.金融機関に返済のリスケジュール(リスケ)を依頼する

銀行等金融機関からの借入は、利息さえ支払えばリスケに応じてくれる可能性が実は高いです。ただし、早くても1か月くらいかかるので早めに相談するようにしましょう。また、リスケ前とリスケ後の資金繰り表を作成して持ち込むようにするのがベターです。

3.支払いのタイミングをずらす(取引先/社保など)

取引先の支払いを、まとまった入金があるタイミングまで待ってもらうことも方法として考えられます。ただし、長年の取引などで信頼関係がないと受け入れてもらえない可能性があり、かつこちらの信頼を失うことになることも考えられるため、慎重に検討し、丁寧な説明が必要です。継続的な仕入先などで、同じ状況が今後も続くのであれば、資金に余裕があるうちに支払いサイトの相談をする方が良いでしょう。決して推奨はできませんが、社会保険料は通常の納付日から1か月程度であれば延滞金がかかりませんので、一時的な資金不足には有効な手段ではあります。ただし、社会保険料は毎月発生するものなので、慢性的な資金不足の場合は分納など年金事務所にきちんと相談をすることをお勧めします。

4.早期の入金を依頼する

取引先に売上など早期の支払いを依頼することも方法として考えられます。こちらも信頼関係が重要になりますので、仕入先への支払いのタイミングなど、理由の丁寧な説明が必要となります。継続的に同じ状況が発生するのであれば、資金に余裕があるうちに支払いサイトの相談をお勧めします。

5.ファクタリング・ビジネスローンなどを利用する

こちらは即日融資が可能な場合も多く、差し迫った状況にある時は有効ではありますが、慎重に検討をしたい手段です。ビジネスローンなどは決算書には載らなくとも信用情報には履歴が残ります。銀行や信用金庫はノンバンクやビジネスローンを利用している企業への「通常の融資」は嫌う傾向にあるので、銀行などで通常の融資を申し込む予定がある場合はなるべく控えた方が良いでしょう。ファクタリングは手数料が高い(15%程度かかることが多い)ため本業の利益をあっという間に無くしてしまうほどの破壊力があります。慢性的にこれらの手段を使うようになると、事業では利益が出ていても現金がいつまでたっても足りず、金融機関からも借入ができないという状況になるので注意が必要です。

やってはいけないこと

1.給料を遅らせる

「最も高い経費は人件費」と言われますが、一番やってはいけないのは給料の遅配です。まず第一に、従業員の不信感につながり、事業への悪影響がはかり知れません。また、そもそも労働基準法にも違反しているため、給与は最終防衛ラインと認識していただく必要があります。役員報酬は労働基準法は適応されないため、遅らせることも可能ですが、経営者以外の役員への未払いが長く続くと訴訟リスクなども抱えることとなるため、こちらも「最終手段」と考えるべきでしょう。

2.無断で支払いを遅らせる

当然ですが、金融機関への返済や取引先への支払いを無断で遅らせるのは最もしてはいけないことのひとつです。取引先によっては信用がなくなり、現金取引になることもあり得ますし、金融機関からの借入は最悪の場合、期限の利益の喪失として一括返済が求められることもあり得ます。とにかくまずは相談をしましょう。

資金繰りで困らないために

資金繰りの大原則は「余裕があるうちにさらに余裕を持っておくこと」「先手先手で対策をする」ことに尽きます。そのための前提として、売上・変動費・固定費をきちんと把握し、先々までのキャッシュフローを把握しておくことが重要です。資金繰り表を作って少なくとも半年先の資金繰りまで把握しておきましょう。毎月の試算表と資金繰り表をもとに、普段から金融機関とコミュニケーションを取って、借りられる時に借りておくことが経営を安定させるためには重要です。

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